キノコは野菜?その正体は菌
キノコは野菜コーナーに並んでいますが、野菜ではなく菌類の仲間です。傘と軸があるものを私たちはキノコと呼んで食べていますが、正式には「子実体」と呼ばれる器官を食べています。子実体はキノコの体のほんの一部に過ぎず、本体は木や地面の中に「菌糸」として広がっているのです。
子実体そのものも菌糸が集まってできていますが、子実体はキノコの繁殖に必要な胞子を作るための器官です。やがて子実体から飛ばされた胞子は、栄養・温度・湿度などの条件が揃った場所に着地できれば、発芽して菌糸を広げ、再びキノコとして成長していきます。
キノコの生態を知ろう
キノコは栄養の取り方によって、「腐生菌」「菌根菌」の2つに分類できます。これを理解することで、シイタケやエノキタケといった定番キノコが安く販売されているのに対し、マツタケやトリュフなどが高級な理由がわかるでしょう。
シイタケやエノキタケなど定番キノコの多くは「腐生菌」
倒木や枯れ木、落ち葉などを分解して栄養を取るキノコは「腐生菌」に分類されます。たとえばシイタケ・エノキタケ・ナメコといった定番の食用キノコのほとんどが、木材を分解する腐生菌です。そのため温度や湿度管理を徹底すれば、オガクズのような木材チップを用いて、狭いスペースでも大量に人工栽培が可能になります。
マツタケやトリュフなど高級キノコの多くは「菌根菌」
生きた樹木と共生関係を築き、菌糸を地下に張り巡らせるキノコは「菌根菌」に分類されます。菌根菌に分類されるマツタケが高級な理由としては、山そのものを管理しなければマツタケは発生せず、シイタケやエノキタケのように人工栽培ができないからです。ほかにもフレンチに欠かせない高級キノコのトリュフやポルチーニも菌根菌であり、やはり人工栽培が難しいため価格は必然と高くなります。
キノコに多く含まれる栄養素は?
キノコは栄養豊富な食材であることが知られています。一方でキノコの食べ過ぎによる悪影響もあることも、ぜひ知っておきましょう。
食物繊維
食物繊維には、急激な血糖値の上昇を抑えるほかに整腸作用がある「水溶性食物繊維」と、便をかさ増しすることで腸を刺激する「不溶性食物繊維」の2種類があります。キノコはどちらの食物繊維も多く含みますが、とくに不溶性食物繊維のほうを多く含みます。
とくにシイタケ・キクラゲ・エノキタケなどはキノコのなかでもトップクラスに食物繊維を含むので、ぜひ日頃の食事にキノコを取り入れていきましょう。ただし食物繊維の摂りすぎは逆に下痢や便秘につながるので、キノコの食べ過ぎには要注意です。
ビタミンB群
キノコには、疲労回復や美肌効果に欠かせないビタミンB群が多く含まれていることが知られています。エノキタケはビタミンB1が数あるキノコのなかでもトップクラスの含有量で、ブナシメジやエリンギもビタミンB群の含有量は多いです。
ビタミンB1は、糖質の代謝に働きかける作用があるため、ビタミンB1が不足すると肥満につながります。ビタミンB2は「美容ビタミン」と呼ばれるように、皮膚や粘膜を正常に保つ働きがあるので、皮脂トラブル・肌荒れ・口内炎がひどい人にキノコはうってつけ。さらに幸せホルモンの生成に欠かせないナイアシン(ビタミンB3)も多く含むため、キノコを食べて心も体も健康になりましょう。
ビタミンD
カルシウムの吸収を高めてくれるビタミンDは、現代人に不足しがちな栄養素のひとつです。とくに乾燥シイタケやマイタケ、キクラゲにビタミンDが多く含まれているので、日頃から積極的に食べることで骨粗鬆症の予防につなげましょう。
カリウム
カリウムには摂り過ぎたナトリウム(塩分)を体外に排出する役割があるため、むくみの解消や高血圧予防につながります。カリウムはキノコのなかでも、シイタケやマイタケ、キクラゲに多く含まれる栄養素です。ただし極端なカリウムの摂りすぎは高カリウム血症の原因になるので、キノコを毎日大量に食べるようなことは止めましょう。
リン
リンは人体のなかではカルシウムに次いで多くあるミネラルのひとつで、歯や骨を丈夫に保つためには欠かせない栄養素です。ほかにもエネルギー代謝や神経伝達など、生命の維持や活動に関する部分でも重要な役割があります。
ただしリンはキノコ以外にも肉や添加物に多く含まれているため、不足よりも過剰摂取が気になるところです。そのため日頃から健康的な食事をこころがけ、キノコもほどよく食べてください。
キノコは冷凍・乾燥で旨味がアップ
キノコは冷凍して細胞壁が壊れると酵素が働きはじめ、旨味成分が倍増します。石突を落として食べやすい大きさに切ったキノコをチャック付きの保存袋に入れて冷凍しましょう。1か月は日持ちするので、使いたい分量のキノコを凍ったままスープに入れたり炒めたりして使ってください。
同様にキノコは乾燥させることでも旨味成分が倍増し、乾燥の際に水分量も減るため、より旨味が凝縮されます。出汁をとるときに、生シイタケではなく乾燥シイタケを使うのは、そのためです。
キノコの食中毒に注意
生食して食中毒になるキノコ
多くのキノコは生食や加熱不足のものを食べると、中毒するので注意しましょう。なかでもシイタケが加熱不十分だった場合、かゆみや発疹などの症状が現れる「しいたけ皮膚炎」になってしまいます。
食べ過ぎでお腹を壊すキノコ
キノコは食物繊維が多く含まれているため、食べ過ぎると下痢や腹痛、便秘などの原因になりかねません。一度に極端に多い量のキノコを食べるのは止めましょう。
お酒との組み合わせで中毒するキノコ
市販で売られているキノコは問題ありませんが、キノコのなかにはお酒と一緒に食べることで中毒する種類があります。「ホテイシメジ」と「ヒトヨタケ」が有名で、これらのキノコにはアルコールが分解されて生じるアルデヒドを分解できなくする成分を含んでいるのです。
アルデヒドが分解できない状態でお酒を飲んでしまうと、どんなにお酒が強い人でも強烈な悪酔いに襲われてしまいます。しかもアルデヒドを分解できなくなる成分は体のなかに一週間ほど残るので、その間は絶対に体内にアルコールを入れないようにしましょう。
毒成分を含むため下処理や食べ過ぎに要注意なキノコ
ヨーロッパの三大キノコにも数えられる「ジロール(アンズタケ)」「モリーユ(アミガサタケ)」には、それぞれ毒成分が含まれています。ジロールには、猛毒のアマトキシン類が微量ながら含まれていることが発見されました。未だに海外でも日本でも食べられているキノコですが、食べないに越したことはありません。
またモリーユは水溶性の毒を含んでいるため、調理前に必ず一度たっぷりのお湯で茹でこぼして使う必要があります。さらに茹でこぼす際の蒸気にも毒成分が含まれているので、下処理は換気をよくして行うようにしましょう。
日本で食べられる美味しいキノコ22選
シイタケ
今では定番の食用キノコ
日本におけるシイタケ栽培の歴史は古く、江戸時代初期から豊後や伊豆地方で行われてたという記録があります。近年では従来の原木栽培ではなく、オガクズを用いて人工的に育てる菌床栽培が主流となり、今では日本を代表する食用キノコです。
シイタケは栄養面にも優れていて、食物繊維のほか紫外線に当たることでビタミンDに変化するエルゴステロールを多く含むことが知られています。さらに旨味成分であるグアニル酸も多く含み、干しシイタケは和食における大事な食材です。ただしシイタケは、生食や加熱不足で中毒を起こすので注意しましょう。
・野生でのレア度/★★★★☆
・季節/春、秋
・おすすめ料理/炒め物、鍋、お吸い物、天ぷらなど
・分類/腐生菌
・スーパーでは一年中買える
エノキタケ
シャキシャキとした食感が特徴の定番キノコ
エノキタケはシャキシャキした食感が特徴で、鍋や炒め物など普段の料理にも欠かせないキノコのひとつです。キノコ類のなかではビタミンB1の含有量がもっとも多く、ほかにもビタミンB2やナイアシン、ミネラルといった栄養素が豊富です。
またエノキタケは光を当てて育てても色がつかない品種を育てているだけであって、実は野生下のエノキタケは茶色い姿をしています。最近ではそんな野生下のエノキタケに近い茶色の品種も多く出回るようになり、従来のエノキタケよりも風味や食感が強く、アミノ酸含有量も多いため要チェックです。
・野生でのレア度/★☆☆☆☆
・季節/晩秋~春
・おすすめ料理/炒め物、鍋、天ぷらなど
・分類/腐生菌
・スーパーでは一年中買える
エリンギ
食べ応え抜群の美味しいキノコ
エリンギは実はヒラタケの仲間で、日本の野生下では発生しないものの、ヨーロッパや中央アジアでは昔から食べられてきた定番のキノコです。弾力がありコリコリした食感は、炒め物や揚げ物、スープなど、どんな料理にもあいます。
栄養面では食物繊維がサツマイモ以上に多く含まれているほか、カリウムも豊富であり、高血圧予防にも一役買います。ほかのキノコに比べて若干日持ちするというメリットもありますので、ぜひ日頃の食事にエリンギを取り入れてみてください。
・野生でのレア度/日本には自生しない
・おすすめ料理/炒め物、フライ、天ぷらなど
・分類/腐生菌
・今では一年中買える
マイタケ
自然界では超激レアキノコ
マイタケは今では当たり前のキノコになっていますが、一昔前は「見つけたら舞い踊るほどうれしい珍しいキノコ」だったのです。実際に今でも天然ものは「幻のキノコ」と呼ばれるほど希少価値があり、毎年多くの人がマイタケを求めて山に向かいます。
現在マイタケには従来のマイタケのほかに「白マイタケ」があり、白マイタケはアクが少ないためスープが黒く濁らないことが特徴。どちらのタイプも味や食感に大きな差はなく、ビタミンDやビタミンB群が豊富であることも同じです。
・野生でのレア度/★★★★☆
・季節/秋
・おすすめ料理/炒め物、鍋、味噌汁、天ぷらなど
・分類/腐生菌
・スーパーでは一年中買える
ブナシメジ
ほのかな苦味と食感が人気の美味しいキノコ
ブナシメジは旨味が強くクセが少ないため、和洋中問わずどんな料理にあう食材です。現在私たちが食べているブナシメジは、大半が美味しく作られた人工栽培のものですが、野生下のブナシメジは苦味とクセがあります。
ブナシメジは低カロリーでありながら、食物繊維や美容にもいいビタミンB2が豊富なので、ダイエットしたい人は積極的に食べましょう。また最近では白いブナシメジをスーパーで見かけることがあり、従来のものよりさらに甘味が増し、より誰もが食べやすいキノコになっています。
・野生でのレア度/★★★☆☆
・季節/秋
・おすすめ料理/炒め物、鍋、味噌汁、天ぷらなど
・分類/腐生菌
・今では一年中買える
ナメコ
ぬめりがクセになる可愛いキノコ
ナメコといえば、のど越しのいい独特のぬめりと歯ごたえが美味しいキノコです。ぬめりには旨味と栄養素が多く含まれているため、料理する際は軽く流水で洗うだけにとどめましょう。
最近では、従来のナメコの3倍ほどある品種もスーパーで見かけるようになりました。味噌汁に入れるのはもちろん、鍋の主役や天ぷらにしても美味しく食べられますよ。
・野生でのレア度/★★☆☆☆
・季節/秋
・おすすめ料理/鍋、味噌汁、天ぷらなど
・分類/腐生菌
・スーパーでは一年中買える
ヒラタケ
どんな料理にも使える万能キノコ
ヒラタケはシイタケやエノキタケ、ブナシメジに比べると若干影が薄いかもしれませんが、今では一年を通して見かける美味しいキノコです。別名を「カンタケ」といい、その名の通りキノコのなかでは珍しく野生下では真冬にも多く発生します。
とても食感がよく、食物繊維やカリウム、リンなどの食物繊維が豊富であることも知られています。炒め物、キノコご飯、から揚げなど、ヒラタケは主役になりうるキノコなので、まだ買って食べたことがない人はぜひお試しください。
・野生でのレア度/★☆☆☆☆
・季節/秋~春
・おすすめ料理/炒め物、鍋、味噌汁、天ぷらなど
・分類/腐生菌
・スーパーでは一年中買える
アワビタケ
アワビに似た食感で大人気
アワビタケはヒラタケやエリンギの仲間で、アワビに似た食感であることが名前の由来です。もともとは中国に自生するキノコでしたが、近年日本では長野をはじめとして、徐々に全国各地で人工栽培されるようになりました。
現在主流となっているアワビタケは「バイリング」という品種で、「ハクレイタケ」「ユキレイタケ」といった商品名で呼ばれることもあります。とにかく食感がいいので、中華料理をはじめとして天ぷらやフライなども絶品です。
・野生でのレア度/日本には自生しない
・おすすめ料理/炒め物、鍋、天ぷらなど
・分類/腐生菌
・スーパーでは一年中買える
キクラゲ
独特なコリコリ食感は料理のアクセントに
キクラゲはコリコリとした食感が楽しめる、ラーメンのトッピングや中華料理に欠かせない食材です。ほかのキノコの仲間とは外見が大きく異なるキクラゲですが、私たちが普段食べているキクラゲは、キクラゲ目キクラゲ科キクラゲ属のアラゲキクラゲという種類の立派なキノコなのです。
キクラゲには乾燥キクラゲと生キクラゲの2つのタイプがありますが、水に戻して使う乾燥イクラゲはコリコリ食感がより強く、生キクラゲはプリッとした食感に加えキノコらしい風味が鼻を抜けます。キクラゲは食物繊維やビタミンDが豊富なほか、鉄やカルシウムも多く含まれているので、貧血予防や骨粗鬆症の予防におすすめの食材です。
・野生でのレア度/★☆☆☆☆
・季節/春~秋
・おすすめ料理/炒め物、鍋、中華スープなど
・分類/腐生菌
・スーパーでは一年中買える
マッシュルーム
キノコのなかでは珍しく生食可能
マッシュルームはアメリカやヨーロッパをはじめ、世界各国で栽培されている定番の食用キノコです。日本にもマッシュルームの原種といわれるハラタケが、春から秋にかけて芝生に生えます。
またマッシュルームは市販されるキノコのなかでは唯一生食が可能なので、鮮度がいいものはぜひサラダに混ぜて味わってみましょう。ちなみにサラダで食べるなら、上品な味わいのホワイトマッシュルームがおすすめですよ。ブラウンマッシュルームは香りが強く風味豊かなので、加熱料理に適しています。
・野生でのレア度/★★★☆☆(近縁種ハラタケ)
・季節/春~秋
・おすすめ料理/炒め物、天ぷら、サラダなど
・分類/腐生菌
・スーパーでは一年中買える
マツタケ
日本の高級食材のひとつ
マツタケは誰もが憧れる高級食材であり、日本の「秋の味覚の王様」とも呼ばれます。マツタケが高級なキノコである理由は、食用キノコの多くが木材腐朽菌である一方、マツタケはアカマツと共生して生きる菌根菌であるため人工栽培ができないという点です。さらに近年ではアカマツ林も減少してきているため、今後さらにマツタケの価格が上がる可能性もあります。
「香りマツタケ、味シメジ」といわれるように、マツタケの魅力は何といっても香りです。香りを損なわないためにも、マツタケは水を張ったボウルの中でサッと洗い、新鮮なうちに料理して食べましょう。
・野生でのレア度/★★★★★
・季節/秋
・おすすめ料理/網焼き、吸い物、天ぷら、炊き込みご飯など
・分類/菌根菌
・冷凍ものは一年中買える
ハナビラタケ
知る人ぞ知るスーパーフード
ハナビラタケはその名の通り、白い花弁の花が咲いているようにも見える不思議な形のキノコです。中国の火鍋には欠かせない食材であり、過去には日本スーパーフード協会にジャパニーズズーパーフードとして認定された今注目の食材でもあります。
ハナビラタケには食物繊維の一種である「β-グルカン」が、ほかのキノコよりも群を抜いて多いのです。β-グルカンは免疫力をあげ、コレステロールの上昇抑制、さらには抗ガン作用があることでも知られます。近年ではハナビラタケサプリも販売されているので、気になった人は要チェックです。
・野生でのレア度/★★★☆☆
・季節/夏~秋
・おすすめ料理/炒め物、鍋、天ぷらなど
・分類/腐生菌
・スーパーでは稀に見かける
ホンシメジ
味だけならマツタケ以上といわれる高級キノコ
ホンシメジは別名「大黒シメジ」とも呼ばれ、旨味や歯切れのよさ、舌触りは数あるキノコのなかでも一級品です。また古くから「香りマツタケ、味シメジ」と言われてきましたが、ここでのシメジとはホンシメジのことを指します。
マツタケ同様に人工栽培が難しいとされてきたホンシメジですが、近年では人工栽培が可能になったことにより、徐々に市場でも見かけることが増えてきました。シンプルに焼いて食べるほか、お吸い物や天ぷらなど、できる限り薄めの味付けをすることで、ホンシメジ本来の旨味を味わってみてください。
・野生でのレア度/★★★★☆
・季節/秋
・おすすめ料理/炒め物、鍋、天ぷらなど
・分類/菌根菌
・スーパーでは稀に見かける
ハタケシメジ
ブナシメジを上回るポテンシャルを秘めたキノコ
ハタケシメジは「ハタケ」という名の通り、秋ごろになると畑や道端、草地など、人里近くの思わぬところから生えてくる美味しいキノコです。近年では人工栽培が盛んになり、スーパーでも稀ではありますが見かけることが増えました。
ブナシメジと比べてシャキシャキとした食感が強く、そのうえ旨味も強いです。「丹波しめじ」というブランド名でも流通しているので、見かけたときはぜひ購入してみてください。
・野生でのレア度/★★☆☆☆
・季節/秋
・おすすめ料理/炒め物、鍋、味噌汁、天ぷらなど
・分類/腐生菌
・スーパーでは稀に見かける
ヤマブシタケ
認知症予防が期待できるフワフワな可愛いキノコ
ヤマブシタケは、まるでふわふわしたハムスターのような見た目のキノコで、傘や柄が見られません。ふんわりとした食感でありながら噛み応えもあり、優しい旨味と香りが口に広がります。なかなか野生下では出会うことができないキノコなので、日本においては「幻のキノコ」と呼ばれ、中国では四大珍味のひとつに数えられます。
しかし近年では、ヤマブシタケの人工栽培に成功したことで、一部のスーパーや地域の物産館で購入できるようになりました。またヤマブシタケ特有の成分である「ヘリセノン・エリナシン」は、記憶力や認知機能の向上にいいとされ、認知症やアルツハイマー病の進行を遅らせ効果が期待されています。
・野生でのレア度/★★★★☆
・季節/秋
・おすすめ料理/炒め物、お吸い物、味噌汁など
・分類/腐生菌
・スーパーでは稀に見かける
タモギタケ
鮮やかな黄色が目を引くキノコ
タモギタケは夏の北海道で見ることができる「幻のキノコ」で、黄色い姿が特徴のヒラタケの仲間です。かつては人工栽培が難しいキノコとされていましたが、近年では少しずつですが市場への流通量も増えてきました。
食物繊維や鉄分が豊富であるほか、「出汁キノコ」といわれるほど旨味成分が含まれています。天ぷらや炒めものも美味しいですが、まずは味噌汁やスープでタモギタケを味わってみてください。
・野生でのレア度/★★★☆☆
・季節/夏~秋
・おすすめ料理/炒め物、鍋、味噌汁、天ぷらなど
・分類/腐生菌
・スーパーでは稀に見かける
ポルチーニ(ヤマドリタケ)
トリュフやマツタケと肩を並べる世界三大キノコのひとつ
ポルチーニは、トリュフやマツタケと並び「世界三大キノコ」のひとつに数えられる、ヨーロッパでは名の知れた食用キノコです。少々高級品ですが、日本でもスライスされた乾燥品や冷凍ポルチーニを購入することができます。
しかし実は日本にもヤマドリタケ、ヤマドリタケモドキという名の和製ポルチーニが自生していますが、なぜか日本では大きなブームは巻き起こりません。肉厚で強い旨味があり、ナッツのような独特の風味が食欲をそそるキノコです。やはり西洋料理との相性がよく、とくにクリーム系のパスタやリゾットで食べると絶品です。
・野生でのレア度/★★★★☆(ヤマドリタケの場合)
・季節/夏~秋
・おすすめ料理/炒め物、クリーム系のパスタやリゾットなど
・分類/菌根菌
・主に冷凍物や乾燥物が出回る
ジロール(アンズタケ)
ヨーロッパでは親しみのあるキノコだが要注意
ジロールは和名でアンズタケとも呼ばれるキノコで、その名の通りアンズのような甘酸っぱい香りがします。ヨーロッパでは三大キノコのひとつに数えられ、とくにフランス料理では欠かせない食材です。
繊細な和食料理とは少々相性がよくないですが、一方でジビエやチーズ、バターを使った料理との相性は抜群です。しかしジロールには猛毒のアマトキシン類をわずかに含んでおり、食べる際は必ず自己責任でお願いします。
・野生でのレア度/★★☆☆☆
・季節/秋
・おすすめ料理/ジビエ料理、チーズやバターを使った料理など
・分類/菌根菌
・主に冷凍物や乾燥物が出回る
モリーユ(アミガサタケ)
独特の見た目からは想像できない極上の旨味
モリーユは和名で「アミガサタケ」といい、ヨーロッパでは三大キノコのひとつに数えられる高級キノコです。プリプリした食感とシイタケにも似た旨味があり、バターやクリームを使った料理との相性は抜群。日本でも春を代表するキノコとして、一部の熱狂的なファンはこぞって山に向かいます。
またモリーユは微量ながらヒドラジンという毒を含むため、必ず一度茹でこぼしたものを使って料理しましょう。ヒドラジンは揮発性の毒なので、下処理中の湯気を吸わないよう換気扇を回すことも忘れないでください。さらにアルコールとの相性がよくないので、残念ですがお酒と一緒に食べることはできません。
・野生でのレア度/★★★☆☆
・季節/春
・おすすめ料理/クリーム煮、クリームパスタなど
・分類/菌根菌
・主に冷凍物や乾燥物が出回る
トリュフ
一度は食べてみたい高級キノコ
「黒いダイヤ」とも呼ばれるトリュフは、世界三大珍味のひとつに数えられるフランス料理では欠かせない高級食材です。ほかのキノコのように地上で傘を広げることはなく、地中に埋まっているため発見するのが困難を極めます。人工栽培もできず限られた地域でしか採れないため、トリュフは「黒のダイヤ」と呼ばれるほど希少性が高いのです。
そんなトリュフには「黒トリュフ」「白トリュフ」「夏トリュフ」「冬トリュフ」など、さまざまな種類が存在しますが、なかでもイタリアで採取される白トリュフは別格扱い。もともとトリュフは味ではなく香りを楽しむキノコと言われますが、とくに白トリュフを削ったときに立ちのぼる強い芳醇な香りはたまりません。
・野生でのレア度/★★★★★(セイヨウショウロの場合)
・季節/秋~冬
・おすすめ料理/スライスして肉料理のトッピング
・分類/菌根菌
・主に冷凍物や乾燥物が出回る
ナラタケ
古くから全国各地で食べられてきたキノコ
ナラタケは国内では古くから食用とされてきたキノコで、ボリボリやサワモダシなど地方によってさまざまな呼び名で親しまれています。汁物に入れるとナメコのようにぬめりが出て、さらに黄色い美しい出汁がとれます。とくに柄の部分はシャキシャキしていて食感がよく、数あるキノコのなかでも絶品です。
しかし食物繊維が多いため食べ過ぎは禁物で、また生食や加熱不足で中毒するので注意しましょう。また近年では、ナラタケが木に寄生することで森を枯らす「ナラタケ病」が問題となっています。
・野生でのレア度/★☆☆☆☆
・季節/秋
・おすすめ料理/鍋、佃煮など
・分類/腐生菌
・地域の物産館などで稀に見かける
チチタケ
栃木県で絶大な人気を誇るキノコ
チチタケは、傷つくと白い乳液を分泌することが名前の由来です。食感はボソボソしていてよくないですが、出汁は香り高く絶品なことで知られます。
とくに栃木では、チチタケをうどんやそばの出汁に使った「ちたけうどん(そば)」が大人気。ほかにもナスや油との相性が抜群で、天ぷらやフライにして食べられることもあります。
・野生でのレア度/★★☆☆☆
・季節/夏~秋
・おすすめ料理/うどんやそばの出汁、天ぷら、フライなど
・分類/菌根菌
・地域の物産館などで稀に見かける
おわりに
シイタケやエノキタケといった見慣れたキノコ以外にも、日本では多くのキノコが食べられることがわかったと思います。ハナビラタケやヤマブシタケなどの珍しいキノコも、場所や季節によっては地域の物産館でも購入できることもありますし、ネット通販であればいつでも買えるようになりました。
ヨーロッパの三大キノコ「ポルチーニ」「ジロール」「モリーユ」の存在も忘れてはいけません。ただし「ジロール」「モリーユ」の毒性については、必ず頭に入れておいてください。
キノコの美味しさは千差万別です。ぜひまだ食べたことがないキノコを食べてみましょう。
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