プロ直伝の黒豆の煮方を紹介します
常備菜としての人気が高く、おせちや祝い事の料理にも欠かせない「黒豆」。黒豆には「”まめ”に生活できるように」「”まめ”に働けるように」などといった願いが込められています。
そんな黒豆ですが、最近ではなかなか家で黒豆を煮る人はいないかもしれません。その理由として考えられるのが、黒豆は完成までに時間がかかるうえに独特な調理手順が多いからではないでしょうか。
この記事では、黒豆を煮るうえで誰もが一度は疑問に思うであろうことを徹底解説しています。ほかにも黒豆を煮るうえでは避けては通れないサビた釘についての話や保存方法についても触れているので、ぜひ最後までご覧ください。
・「サビた釘」はなぜ入れる?ほかに代用できるモノは?
・黒豆は丸一日かけて熱々の調味液から戻す!
・黒豆は弱火でじっくり煮ていこう!
・砂糖を少しずつ追加する意味とは?
「#黒豆」を煮たネ✨
黒豆は縁起物だヨ⛩
“まめ”に間食してデブになろう❗️#おうちごはん#ネクストフーディスト pic.twitter.com/3Of75uFbXn— キンクマ主夫の食卓@料理家ハムスター (@kinkumashuhu) October 26, 2023
お料理開始 Let’s Cooking!!
おすすめの黒豆の品種は粒が大きいもの
お店で黒豆を探してみると、メーカーの違いだけでなく意外と多くの品種の黒豆があることに気が付くと思います。しかし単に家で黒豆を煮て食べるだけなら、品種など関係なくお財布と相談して選ぶのがいいでしょう。
ただし覚えておきたいのは、豆のサイズが大きいほど煮たときに中まで蜜がしっかり浸透するので、美味しく仕上がるということです。おせちや祝い事などの特別な料理に使いたいなら、丹波黒・いわいくろ・雁喰・玉大黒といった品種をおすすめします。
黒豆を軽く洗う
黒豆を袋から出したらサッと水で洗い、ザルで水気を切っておきます。皮が破れてしまいますので、くれぐれも乱暴に洗わないようにしましょう。
「サビた釘」を入れる理由と代用できるもの
黒豆を煮る際は、昔から「サビた鉄クギと一緒に煮るといい」と言われています。そもそも黒豆のあの黒々しいツヤは、ブルーベリーに多く含まれていることで有名なアントシアニンに由来するものです。本来アントシアニンは熱に弱い物質ですが、アントシアニンは鉄と結びつくことで安定した物質となり、長く加熱しても色が落ちなくなります。
つまり鉄を含むものならサビた鉄クギを用いなくても大丈夫。おすすめはキッチン周りの掃除に用いることが多い「スチールウール」です。新品のものをティーパックや出汁パックに入れて使いましょう。ほかにも薬局で買える鉄サプリや南部鉄器の鉄卵などで代用が可能です。
黒豆を熱々の調味液で戻す
フタ付きの鍋に水、砂糖、薄口醤油、重曹をあわせて一度沸騰させます。重曹を入れる理由ですが、黒豆のたんぱく質を分解することで黒豆をふっくら柔らかくするためです。絶対に必要な材料ではありませんが、アク抜き効果もあるのでぜひ入れてみてください。
沸騰したら火を止めて黒豆とスチールウールを入れ、フタをして常温に戻るまで放置。その後冷蔵庫で丸一日寝かせます。黒豆に限らず豆類は水で戻すと中から膨らんで皮を破いてしまうので、このように沸かした調味液の中で皮から先にふやかすのがベストです。
一晩経つと、調味液は真っ黒に。そして豆の大きさは2~3倍に膨れ上がります。黒豆はじっくり時間をかけて戻すことで柔らかくなるので、加熱時間は短くなり、味も染み込みやすくなるのです。
アクを取る
中強火にかけ、沸かしていきます。かなりアクが出ると思うので、根気よく取り除きましょう。
完全に沸騰させてしまうと、せっかく浮いたアクも散ってしまい、豆の皮が破れる原因にもなります。ブクブクが激しくなったら水を少し注し、沸騰を抑えてください。「沸騰直前→アクをすくう→水を注して沸騰を抑える」を3~4回繰り返します。
弱火で煮る
アクを取ったら弱火にし、フタを少し開けた状態でひたすら煮ます。煮ている最中に黒豆が長い間空気にさらされると、皮が破ける原因に。水分が蒸発して黒豆が顔をのぞかせないよう、その度に水を注してください。
追加の砂糖を何度かに分けて入れる
新たに用意した砂糖を5等分にし、30分ごとに追加で入れていきましょう。一気に砂糖を加えるよりも少しずつ加えていったほうが味が染みます。
隠し味のはちみつ
途中で味をみながら豆がしっかり柔らかくなったら、はちみつと薄口醤油をプラスで加えます。はちみつを入れることで、さらにツヤがアップ。それから黒豆がギリギリ顔をのぞかせない程度まで煮てから、火を止めてスチールウールを取り出し、フタをします。
豆の量や品種、火加減などによって煮る時間は左右されると思いますが、ここまで3~6時間はかかるでしょう。
黒豆の保存方法
常温まで戻ったら清潔なタッパーに煮汁ごと移し、さらに冷蔵庫で一晩以上寝かせたら完成です。このとき豆に空気が触れたらシワが寄ってしまうので、必ず豆が完全に浸かるような状態にしてください。
完成 It’s ready to eat!!
時間がかかりましたが、なんとか無事に完成しました。
それでは早速食べてみましょう!
モグモグモグ……
う~ん、とっても甘い!
これぞ黒豆という感じの甘さに仕上がっています。黒豆は甘さだけでなく、潰した時の食感もいいんですよね。とっても柔らかくて、がんばって煮た甲斐がありました。
黒豆はおせちや祝い事に限らず、常備菜として冷蔵庫に入れておけば、いつでも幸せを味わえます。黒豆は既製品を買う人が多いかもしれませんが、手作りは本当にオイシーので、ぜひいつかこの記事を参考に作ってみてください。
レシピ Recipe!!
<材料>4人分×5日分
黒豆・・・・・・・・250~300g
(A)水・・・・・・・・・2L
(A)砂糖・・・・・・・・250g
(A)薄口醤油・・・・・・大さじ2
(A)塩・・・・・・・・・小さじ1強
(A)重曹・・・・・・・・小さじ1/2(あれば)
砂糖・・・・・・・・200g(目安)
(B)はちみつ・・・・・・大さじ3
(B)薄口醤油・・・・・・大さじ1
スチールウール・・・1個
下準備など
- 味が染みて完成するまで丸二日以上かかります。
- スチールウールはなくても大丈夫ですが、仕上がりの色が悪くなります。
- スチールウールはティーパックや出汁パックの中に包んでください。破れにくいペーパーを利用しても大丈夫です。
- (9)、(10)の工程でさらに味が染みるので、そのことを念頭において(7)の砂糖の量を計算してみてください。
手順
1,黒豆をサッと流水で洗い、ザルで水気を切っておく。
2,(A)をフタ付きの鍋にあわせ、一度沸かす。
3,(2)に(1)とスチールウールを入れてフタをし、そのまま放置する。常温に戻ったら冷蔵庫で丸一日寝かせる。
4,(3)を中強火にかけ、アクを取る。沸騰しかけたら水を少し注して沸騰を抑える。
5,アクがほぼ出なくなるまで(4)の工程を3回ほど繰り返す。
6,火を弱火にし、少し開いた状態でフタをする。煮汁が減って黒豆の頭が出そうになったら、都度水を足していく。
7,追加の砂糖(200g)を5等分にし、30分ごとに約40gずつ入れていく。途中で甘さが十分だと思ったら、それ以上は追加しない。
8,黒豆が十分柔らかくなったら(B)を加える。
9,黒豆が頭をのぞかせるギリギリまで煮たら火を止め、フタをする。
10,常温まで戻ったら冷蔵庫に入れ、一晩以上寝かせたら完成。
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