和食と言えば出汁!
知るだけで料理のレベルがぐ~んと上がるような出汁知識をいっぱい教えるネ!
キンクマ 醤油を正しく使い分けることで料理が今より上手くなるヨ。 「醤油」は私たち日本人にとって馴染みの深い調味料です。お寿司やお刺身を食べるときや、和食料理の味の決め手として、醤油は多くの場面で活躍します。[…]
突然ですがクイズです
基本五味とは、甘味・酸味・塩味・苦味・辛味のことである。
赤・緑・青をうまく混ぜ合わせれば全ての色を作れるんダ。
それと同じで味にも基本となる要素が5つ存在するんだヨ。
正解 ×辛味 → 〇旨味
基本五味について
基本五味には、甘味・酸味・塩味・苦味・旨味の5つがあります。
辛味は刺激であり、基本五味には含まれません。
同様に、渋味もタンニンなどが舌に吸着することで起こる感覚であるので基本五味には含まれません。
さて、今回出汁の話であるのになぜこんなクイズを出したかと言うと、
この旨味こそが出汁と密接に関わる大事なワードだからです!
旨味とは
ここでの旨味の意味は、「酒がウメェ~!」の旨いとは意味が異なります。
そもそも出汁と言うのは、「旨味成分」がふんだんに溶け込んだものと知っておかなくてはなりません。
旨味には、それぞれちゃんとした名前があります。
恐らく聞いたことあるものもあるのではないでしょうか?
グルタミン酸・・・・・・昆布、醤油、味噌、チーズ
イノシン酸・・・・・・肉、鰹節、その他魚介類、
グアニル酸・・・・・・キノコ類
コハク酸・・・・・・貝
アスパラギン酸・・・・・・アスパラガス、大豆
代表的な旨味物質と、どんな食べ物に多く含まれているかを簡単にまとめました。
旨味が強くて納得のいく食べ物ばかりだと思います。
さて、この旨味なのですが何故基本五味に含まれているのでしょう?
それは人間の舌には、この旨味成分を受容する特別な働きがあったからです。(グルタミン酸受容体)
つまり旨味とは、甘味や塩味などとは分けて考えなければならないということで、
確実に味の要素として存在しているから基本五味の一つということになります。
旨味の歴史
日本人は感覚的に旨味の存在を知っていました。
と言うのも、19世紀以前は旨味物質なんて世界中のどこでも発見されていませんが、
日本人は昔から「出汁がきいてねぇな~」って料理を通して感じることがあったのです。
これは日本人が特別なのではなく、水に秘密があります。
日本は軟水で、西洋は硬水。
出汁は軟水でよく引ける為、日本の出汁はより濃厚だったのです。
だから西洋はトマト(トマトもグルタミン酸を多く含む)だけでは旨味が足りず、
塩味の強いチーズなんかを組み合わせることで味をより良くしようと工夫しています。
かつて、日本が旨味成分の存在を海外に主張した際、
「そんなの存在するか~!」って言われていました。
(20世紀になり、日本人が旨味成分を次々と発見)
しかし、2000年!!!!!(結構最近の出来事ダネ~)
先にも書いてます通り、グルタミン酸受容体が発見され、
ようやく世界でも旨味の存在が認知されていくこととなったのです。
味の相互作用
旨味成分が化学物質である以上、舌の上では様々な反応が起こっているのです。
そして旨味成分が混ざることで、更に強い旨味を感じることができるということも分かっています。
味の相乗効果
例1、昆布(旨味)、かつお(旨味)それぞれで出汁を取るよりも、合わせて出汁を取った方がオイシー。
例2、赤ちゃん(カワイイ)とわんわん(カワイイ)が一緒にいるともっとカワイイ。
味の抑制効果
例1、コーヒー(苦味)に砂糖(甘味)を入れると苦味が和らぐ。
例2、強面の男性(怖い)が動物(カワイイ)とじゃれ合っていると和む。
味の対比効果
例1、すいか(甘味)に塩(塩味)を振ると甘味が際立つ。
例2、ムキムキの男性(固い)がハムスター(もふもふ)を抱っこしているともふもふ具合が際立つ。
特に味の相乗効果が出汁とは密接な関わりがあります。
昆布とかつおの合わせ出汁が主流なのはこのためです。
出汁の種類
今日では、スーパーなんかに行くと色んな種類の出汁が売られていますよね?
いわゆる市販の出汁です。
それに対し、昆布や鰹節で自ら出汁を引く場合とがあります。
市販の出汁
主に、顆粒出汁、出汁パック、液体出汁の3種類があります。
市販の出汁は、とっても便利でオイシーです。
ただ塩分が多く含まれているものがあるので、その点だけが注意しなければなりません。
(最近では減塩表記のものがかなり増えました。)
顆粒出汁(簡単!)
そのままお湯に溶かすだけでお吸い物を作れるし、
煮物なんかにもサーッと溶かしたら簡単に味が深まる優れもの。
小分けされたスティックタイプのものもよく見かけますネ。
出汁パック(本格的な風味!)
水やお湯に入れるだけで勝手にオイシー出汁が出る優れもの。
液体出汁(料理の幅が広がる!)
濃い出汁の原液。
薄めることで様々な料理に使える優れもの。
筋クマ主夫が一番多用している。
(ちなみによく見かける白出汁とは、薄口醤油やみりんで味付け・香り付けがされたもの。)
本当に好みの問題ですが、一番簡単なのは間違いなく顆粒出汁です。
量も味を見ながら調整できますしネ。
自分で出汁を引く場合
昆布出汁
北海道の乾燥昆布が有名で、産地ごとに特色がある。
家庭料理で特にこだわりがなければ、お手頃な価格の昆布で十分。
基本的に水から昆布を入れ、沸騰直前に昆布を取り出す。
(沸騰させたら旨味成分以外に雑味も溶け出す。)
使用例:お吸い物、おでん、鍋、炊き込みご飯など
かつお出汁
かつお節の種類で風味が大きく変わるが、
家庭料理では「花かつお」がクセがなくオススメ。
昆布ほどではないが、沸騰させ過ぎると雑味が出る。
3分ほど沸騰させた後に火を止め、浮いていたかつお節が沈んだら濾す。
使用例:味噌汁、すまし汁、茶わん蒸し
昆布とかつおの合わせ出汁(超オススメ!)
恐らく和食のレシピに表記されている出汁は、昆布とかつおの合わせ出汁を想定されている。
「一番出汁」、「二番出汁」はこれに分類。
使用例:汁物全般、煮物、つゆ
いりこ(煮干し)出汁
旨味と程よい雑味がオイシーが、強い雑味が苦手な場合は、いりこの頭と内臓は取り除いて使う。
水からいりこを入れ、20分は火にかける。
使用例:味噌汁
あご出汁
トビウオさんから取った出汁。
優しく存在感がある香りと、コクのある旨味が特徴。
頭と内臓は取り除き、身を適当な大きさに割る。
その身を半日ほど水に浸けた後、火にかけ、沸騰後弱火で5分ほど煮だす。
使用例:味噌汁、つゆ
椎茸出汁
干し椎茸の戻し汁を出汁として用いる。
水を張ったボウルに干し椎茸を入れ、落としラップをして浮いてこないようにする。
その状態のまま冷蔵庫で少なくとも半日は置きたい。
使用例:煮物、つゆ
料理に正解の出汁はない
ここまでいくつも出汁の種類(市販の出汁を含む)を紹介しましたが、
「この料理にはこの出汁を使わないといけない」という決まりはありません。
また、このあと出汁の引き方についても触れますが、
出汁の取り方もどれが正しいかなんてものはありません。
出汁に迷わないでください!
オイシー市販の出汁に出会えたらラッキーと思えばいいですし、
自分で出汁を取る場合もどんどん工夫し、出汁を存分に楽しんでください。
出汁の取り方
ここからは、実際に出汁の取り方を一部写真付きで紹介します。
和食で最も定番である「昆布とかつおの合わせ出汁」です。
また、出汁には「一番出汁」、「二番出汁」と呼ばれるものがあります。
水に昆布やかつお節などの材料を入れ、長時間沸騰させずに取った出汁。
特徴:濁りがなく、キンクマ色の澄んだ出汁。香り高く、上品。
用途:お吸い物、つゆ
一番出汁を取った出汁がらを再度用いる。
じっくり旨味を煮出し、強い雑味も同時に生じる。
特徴:色が薄く、香りは一番出汁に劣るが、十分な旨味と雑味がある。
用途:味噌汁、煮物
よく料理本なんかには、「一番出汁と二番出汁を使い分け、オイシー料理を作りましょう!」なんて書いてあります。
しかし主夫(婦)目線で申しますと、料理するたびに一番出汁、二番出汁を取っている余裕なんて大半の人が無いはずです。
一番出汁に関しては、お吸い物を作り、うどんのつゆを作ったりするのに用います。
ご家庭では、どちらかと言うと二番出汁が必要なのです。
そこで一番出汁、二番出汁の取り方を簡単に紹介した後、
「最強味噌汁出汁」を紹介します!
これは、いきなり二番出汁と変わりない出汁を取る方法で、応用の幅があります。
ぜひ参考にしてみてください。
昆布とかつおの合わせ出汁
・一番出汁
水・・・・・・・・・・・1L
昆布・・・・・・・・・・20g
かつお節・・・・・・・・30g
乾燥昆布を作る際、海岸にズラーッて昆布を並べるから、汚れが付いている可能性があるのです。
しかしどうでしょうね。
スーパーなんかで買う昆布は比較的綺麗な気がします。
どうしても気になる方は、「固く絞った布巾で表面をサッと拭く」!
ちなみに僕は拭いていません!
ただし、流水で洗うことと、白い粉を拭うことだけはNGです。
(白い粉はマンニトールと言う甘味成分)
完全に沸騰するよりも、昆布がぐらぐら動き始めた頃に昆布を取り出します。
二番出汁を取る際は、再びこの昆布を用いるので大事にとっておいてください。
一度完全に沸かした後に火を止め、かつお節を入れます。
かつお節の大半が沈むのを待ちます。(3~4分は放置)
濾します!
キッチンペーパーを敷きます。
濾しました!
二番出汁を取る際は、このかつお節も用いますので取っておいてください。
ここで注意なのですが、決してキッチンペーパーを絞ったり、かつお節に触れないようにしてください。
一番出汁に雑味が入ります。
綺麗なキンクマ色の一番出汁の完成!
香りがいいです。
・二番出汁
水・・・・・・・・・・・500cc
昆布・・・・・・・・・・一番出汁の出汁殻
かつお節・・・・・・・・一番出汁の出汁殻
かつお節・・・・・・・・15g(追いがつお)
それは、一番出汁で用いた昆布、かつお節の出汁殻を使うからです。
だから水の量は少な目にしないと、濃い出汁は生まれません。
アクはしっかり取ってくださいネ。
追いがつおです。
新たなかつお節を加えることで香りを良くします。
ここで火を弱火にし、5分ほど煮出しましょう。
これを濾す時は、しっかりかつお節を絞ってください。
ペーパーの上からぎゅうううううう!!!!!
最強味噌汁出汁(超オススメ!)
ほぼほぼ間違いなく、ご家庭で一番出汁と二番出汁が必要になる状況はないと思います。
ですが、味噌汁に用いるのは二番出汁がオイシーのです。
そこで一番出汁は取らずに、手っ取り早く二番出汁と変わらない出汁の取り方を紹介します。
いりこも加え、より味噌汁に特化した出汁です!
水・・・・・・・・・・・1L
昆布・・・・・・・・・・20g
かつお節・・・・・・・・30g
いりこ・・・・・・・・・20g
水1Lに昆布を入れ火にかけます。
火は弱火。
一番出汁は昆布がぐらついた段階で昆布を取り出しましたが、
味噌汁出汁の時は強めに沸騰するまで待ちます。
それから昆布を取り出しましょう。
かつお節、いりこを入れ、強火にします。
沸いたら中火に落とし、そこから5分間ぐつぐつします。
濾します。
味噌汁出汁の場合は、かつお節、いりこのエキスをしっかり絞り出してあげてください。
これで完成!
おわりに
いかがだったでしょうか?
世界でも今注目されている和食。
その和食を昔から支えてきた出汁。
そんな出汁の魅力や面白さが少しでも伝わりましたでしょうか?
出汁を使いこなせば、必ず料理の味は飛躍的によくなります。
自分で出汁を取るのが難しいと感じたならば、先ずは市販の顆粒出汁なんか使ってもらって全然構わないと思います。
いつか気が向いたらでいいので、昆布やかつお節を手に取って、
食材本来の出汁を味わってみてください。