貝の形状はさまざま
二枚貝
左右に一対ずつ殻がある貝を二枚貝と言い、アサリ・ハマグリ・ホタテ・カキなどがその代表です。二枚貝の仲間は砂や泥のなかでほとんど動くことなく、殻の隙間から水管を出して呼吸および食事をします。
二枚貝のエサは海水中のプランクトンですが、そのなかには有毒プランクトンもいるため、時期によっては二枚貝は毒化します。主に春先から夏にかけてが食べるには危険な時期であり、基本的にはお店で売られている貝を食べるのが、安全性が確認されているため安心でしょう。
巻貝
巻貝といえば、らせん状に巻いた貝のことを想像する人が多いと思いますが、アワビやウミウシ、アメフラシなども巻貝の一種です。巻貝の仲間には活発に動き、二枚貝とは違い肉食性のものもたくさんいます。
巻貝の一種であるツブ貝の仲間には、獲物を麻痺させるために、唾液腺にテトラミンと呼ばれる毒をもつ種類がいるので要注意。唾液腺を除去せずに食べると、食後30分から1時間以内に、激しい頭痛やめまい、視覚障害などの症状が現れるので注意しましょう。
一般的な貝の可食部について
アサリ・シジミ・カキなどは身を丸ごと食べますが、貝の種類によっては可食部が決まっている場合があります。よく耳にする貝柱やヒモとは、一体どこの部位なのでしょうか。
貝柱
貝柱は二枚貝にある器官のひとつで、殻が開かないよう内側から引っ張る役割があります。殻に閉じこもった生きている貝を捌く場合、殻の隙間からナイフを差し込み、貝柱を断ちましょう。
貝の種類によって貝柱の大きさは異なり、例えばホタテガイはかなり貝柱が大きいことで知られます。たんぱく質やミネラルが豊富な貝柱は、ホタテガイに限らずどんな貝でも美味なので、ぜひいろいろな種類の貝の貝柱を味わってみてください。
ヒモ
ホタテガイを想像するとわかりやすいですが、ヒモはホタテの身の周りにあるヒラヒラした部位のことです。正式名を外套膜(がいとうまく)といい、ここから分泌する炭酸カルシウムを使って殻を作っています。
とくにホタテガイのヒモは甘味が非常に強く、乾燥させたヒモはおつまみとしても大人気。ホタテ以外にもタイラギやシャコガイなどもヒモが大きく、旨味がいっぱいです。
水管
水管とは二枚貝が呼吸や食事をするために必要な管のことです。とくにミルガイの主な可食部は大きく発達した水管で、コリコリした食感と口いっぱいに広がる甘さがたまりません。
足
二枚貝の可食部のうち、身の中でも舌のような形をした部分のことを足と呼びます。足は名前の通り移動のときや、砂地に潜ったりするとき、逆に砂地に埋もれ過ぎないようにするための支えに使います。通常は単に「身」と呼ぶことが多いですが、トリガイの黒く着色した部分こそ足なので、ぜひ覚えておいてください。
肝
貝において肝というのは生殖腺のことで、つまりオスなら精巣(白子)、メスなら卵巣(卵)です。サザエの渦巻状の先端にある部分や、ホタテの身の周りにある三日月状の部位がいわゆる肝にあたります。
多くの貝の場合、白子なら白っぽい色で卵ならオレンジ色をしています。白子と卵で若干風味が違うので、ぜひ食べ比べてみてください。
貝は砂抜き・塩抜きをして食べよう
なぜ貝は砂を蓄えるのか
多くの貝は砂地の上や砂地に潜って生活し、呼吸や食事の際に、どうしても殻の中に砂を取り込んでしまいます。砂を取り込んだ状態で料理すると、口のなかがジャリジャリして、せっかくの料理も台無しになってしまいます。砂抜きが不要な貝もありますが、一般的には砂抜きして料理に取り掛かりましょう。
基本的な砂抜きの仕方
海と同じような環境に貝を置くことで、貝は殻に取り込んだ砂を吐き出します。基本的なやり方は、ボウルにザルを重ねたところによく洗った貝を入れ、海水と同じ濃度の食塩水(水500mlに大さじ1程度の塩)を貝がひたひたになるまで注ぎます。アサリ・シジミ・ハマグリの詳しい砂出しについては、過去記事をご覧ください。
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貝を美味しく食べるには塩抜きも大事
砂抜きした直後の貝は体内に塩水を貯め込んでいるため、すぐに調理すると思っていたより料理が塩辛くなります。そこで塩抜き後、ザルにあげた貝をそのまま30分ほど放置し、塩水を吐き出させましょう。
貝毒に注意しよう
貝毒は過去には死亡事故が起きたことがるほど危険なものがあります。貝毒の発生状況は、ネットで検索すると県ごと地域ごとに情報が公開されているので、とくに潮干狩りに行く前は要チェックです。
時期によって毒をもつ貝
アサリ・マガキ(カキ)・ホタテガイなどの二枚貝は毒化する
有毒プランクトンが発生している海域では、それらをエサにする二枚貝が毒化することがあります。とくに春から夏にかけてが、有毒プランクトンの発生時期なので潮干狩りに行くときは要注意。ただしお魚屋さんやスーパーで見かける貝は、時期に限らず安全な基準を満たしているので安心です。
中腸線(うろ)に毒が集まりやすい
中腸線(うろ)とは貝の消化器官のひとつです。多くの二枚貝は、有毒プランクトンを食べて取り入れた毒は、中腸線に集まります。
ホタテガイの場合は、大きな中腸線(貝柱につく黒い部分)を簡単に取り除くことができます。安全基準をクリアしたものであっても、ホタテガイを食べるときは中腸線を取り除くようにしましょう。
唾液腺に毒をもつ貝に要注意
ツブ貝の仲間を食べるときは唾液腺を取り除く
ツブ貝といった肉食の貝のなかには、唾液腺のなかにテトラミンという毒をもつ貝がいます。テトラミンは加熱しても毒性は変わらないので、捌く段階で必ず取り除くようにしましょう。
日本で食べられる美味しい貝25選
アサリ
みんな大好きな定番の食用貝
アサリは春から初夏に楽しまれる潮干狩りのターゲットで、数ある食用貝の中でも馴染み深い種類です。アサリは主に北海道から九州にかけての干潟や砂地に生息していますが、近年は生息数が大幅に減り、スーパーでは海外産が多く並ぶようになりました。
季節や場所によって、アサリは貝毒を持つことがあるので、潮干狩りは地域で発表される情報を元に楽しみましょう。味は言うまでもなく美味で、さらにタウリンや鉄分といった栄養素が多く含まれていることも嬉しいポイント。しっかり砂抜きしたアサリを使い、酒蒸しや味噌汁、パスタなどを楽しみましょう。
・分類/マルスダレガイ科
・産地/北海道、静岡、愛知、福岡など
・旬/2~4月、9~10月
・おすすめ料理/酒蒸し、味噌汁、佃煮、パスタなど
シジミ
旨味成分たっぷりの小粒な貝
シジミとは総称で、日本には「ヤマトシジミ」「セタシジミ」「マシジミ」の3種がいます。どれも見た目はそっくりですが、日本に流通するシジミのほとんどが、海水と川の水が混じった汽水域に生息するヤマトシジミです。
シジミには旨味成分のコハク酸がアサリ以上に含まれているため、汁物に入れると濃い出汁を楽しむことができます。また汁物に入ったシジミの身を食べない人もいるようですが、身もぷりぷりで美味しいですので、ぜひ残さず食べましょう。
・分類/シジミ科
・産地/北海道、青森、島根など
・旬/12~翌1月、7~9月
・おすすめ料理/味噌汁、酒蒸しなど
カキ(マガキ)
ジューシーでプリプリな冬の味覚
一般的にカキといえば、「マガキ」のことです。日本全国どこの海岸線にも生息していますが、普段食べているもののほとんどが養殖されたものになります。
マガキは夏から秋にかけてが産卵期で、この期間は栄養を放出してしまうため旨味が落ち、逆に冬場のカキは栄養を蓄えているため美味しいです。生食したい場合は、生食用の基準を満たしたカキだけを食べるようにし、それ以外のカキは必ず十分加熱して食べるようにしましょう。
・分類/イタボガキ科
・産地/広島、宮城など
・旬/12~翌2月
・おすすめ料理/酢ガキ、フライ、天ぷら、鍋など
ハマグリ
お祝いごとに欠かせない高級二枚貝
ハマグリは比較的きれいな淡水が流れ込む浅瀬に生息する二枚貝です。自身の殻でのみピタリと殻が噛みあう性質から縁起物として扱われ、ひな祭りや祝い膳では欠かせない食材となっています。
身はアサリに比べて大きく、さらにふっくらしているうえに旨味が強いです。お吸い物や酒蒸し、浜焼きなどで、ハマグリの身を存分に味わいましょう。
・分類/マルスダレガイ科
・産地/千葉、三重など
・旬/2~5月
・おすすめ料理/酒蒸し、お吸い物、浜焼きなど
サザエ
磯の風味が口いっぱいに広がるバーベキューの定番
サザエは比較的浅い岩礁域にいる巻貝の仲間で、コリコリとした食感や磯の風味がたまらない人気の貝です。殻から生えるゴツゴツした角は、サザエ自身が波に流されないためのもので、波が穏やかな場所にいるサザエは角が生えず殻はツルツルしています。
またサザエの身を殻から取り出したとき、うず巻き状の先端(肝)がクリーム色がオスで、緑色がメスです。サザエはオスメスので味の違いもなく、年間を通しても味は安定しています。おすすめの食べ方は、やはりつぼ焼きです。
・分類/リュウテン科
・産地/長崎、山口など
・旬/3~8月
・おすすめ料理/刺身、つぼ焼きなど
アワビ
コリコリ食感が大人気の高級貝
実はアワビの仲間は世界に100種類ほどいて、日本国内ではその中の4種類ほどが食べられています。味にはほとんど違いがないと言われていますが、例えば歯ごたえがあって高級のものが「クロアワビ」で、柔らかくて加熱料理にあうのが「メガイアワビ」です。
春先(2~5月)のアワビの中腸線を食べると中毒することがあるので、この時期に天然ものを食べるときは気を付けましょう。アワビは食感をもっとも楽しめる刺身が定番ですが、それ以外にもステーキや煮つけ、酒蒸しなども大変美味です。
・分類/ミミガイ科
・産地/岩手、千葉、三重など
・旬/7~9月
・おすすめ料理/刺身、ステーキ、旨煮、酒蒸しなど
ホタテガイ
和食でも洋食でも美味しい冬が旬の万能貝
ホタテガイは冷たい海水を好む、成長速度が速いことでも知られる大きな貝です。ホタテガイには旬が二度あり、貝柱が大きくなる5~8月の夏の時期と、卵や白子(貝柱横のオレンジの部分が卵、白い部分が白子)が発達した12~翌3月の冬の時期が、一年の中でもとくに美味しい時期とされます。
さらに冬場は、ホタテガイを養殖する過程で間引かれたベビーホタテも出回る時期なので、ぜひ見逃さないようにしましょう。ホタテガイは新鮮なものなら貝柱・貝ひもの刺身一択で、それ以外ならバター焼きや浜焼きなどが定番。ベビーホタテなら味噌汁も美味しいですよ。
・分類/イタヤガイ科
・産地/北海道、青森など
・旬/5~8月、12~翌3月
・おすすめ料理/刺身、バター焼き、浜焼き、フライなど
アカガイ
身の色が真っ赤なお寿司の定番ネタ
アカガイは血液中に人間と同じようにヘモグロビンを含み、身の色が赤いことが特徴です。昔は関東を中心に多く採れた貝でしたが、今ではすっかり数が減ってしまい、高級な貝の仲間入りをしています。
旬は秋から春と長いですが、とくに寒い冬の時期が旨味が凝縮されて美味しいとされます。お寿司では定番のネタですが、旨煮や和え物でも絶品の貝です。
・分類/フネガイ科
・産地/宮城、愛知、大分など
・旬/9~4月
・おすすめ料理/刺身、旨煮、和え物など
ホッキ貝(ウバガイ)
見た目が華やかな寿司ネタの定番
ホッキ貝は湯通しすることで、馴染みある鮮やかな紅色が映える姿に変わります。その多くが北海道で水揚げされたもので、ほぼ一年中安定した旨味があります。
貝の中では比較的安値であり、しかも捌きやすい貝です。刺身や和え物など、どんな料理にもあう味なので、積極的に日頃のごはんに取り入れてみましょう。
・分類/バカガイ科
・産地/北海道、青森など
・旬/1年中
・おすすめ料理/刺身、和え物など
タイラギ(タイラガイ)
甘くて旨味が強い大型の高級貝
タイラギは比較的温暖な海域に生息し、殻のとがっている先端を海底に深く突き刺して立っています。食用となる二枚貝の中ではもっとも大型で、ホタテガイにも負けない美味しさをもつ貝です。
主に可食部は太く大きな貝柱で、高級寿司店や料亭でよく見かけます。たまにお魚屋さんやデパ地下で見かけることがあるので、刺身以外にもホタテガイのように、バター炒めやフライでもお楽しみください。
・分類/ハボウキガイ科
・産地/愛知、岡山、香川など
・旬/12~翌3月
・おすすめ料理/刺身、バター炒め、フライなど
トリガイ
捌くのには技術を要する高級貝
トリガイの名前の由来は、可食部である足(殻からはみ出た部分)が鳥のくちばしのような色味であるからという説と、味が鶏肉に似ているからという説があります。黒い色素はすぐに落ちてしまうため流水で洗うのも禁物であり、和食の料理人はラップの上やガラス板の上など、摩擦がないところで丁寧に捌きます。
あまり私たちが普段見かけることはない貝ですが、お寿司屋さんや料亭で食べることができます。たまにスーパーで見かけるものは湯引きされたものですが、味落ちもほとんどなく、甘さといい食感が楽しめますよ。
・分類/ザルガイ科
・産地/愛知、三重、京都、千葉など
・旬/5~7月
・おすすめ料理/刺身、和え物など
ミルガイ
巨大な水管が特徴的な高級貝
ミルガイは二枚貝の中でもかなり大型の貝で、特徴的な大きな水管の部分が主な可食部です。食感はコリコリしているうえ旨味や磯の風味もあって、寿司ネタとしてもなくてはならない存在。
ただし貝の中ではもっとも高級で、近年では1キロあたり5,000円以上することもあります。刺身のほかバター焼きや和え物など、どんな料理でもおすすめです。
・分類/バカガイ科
・産地/愛知、千葉、山口など
・旬/9~10月、1~3月
・おすすめ料理/刺身、バター焼き、和え物など
ツブ貝(エゾボラ)
噛めば噛むほどあふれ出す旨味が絶品
ツブ貝とは数ある食用巻貝の総称で、そのなかでも北海道を中心に水揚げされるエゾボラがもっとも美味だとされます。殻は簡単に割れるので、身を取り出すのは簡単。コリコリとした食感に加え、噛めば噛むほど口いっぱいに強い旨味が広がっていきます。
ただし唾液腺にはテトラミンという毒を含むため(エゾボラに限らず肉食性の巻貝は要注意)、必ず食べる際は取り除かなければなりません。刺身や旨煮、つぼ焼きが絶品です。
・別名/真ツブ貝
・分類/エゾバイ科
・産地/北海道
・旬/4~7月
・おすすめ料理/刺身、旨煮、つぼ焼きなど
トコブシ
見た目は小さなアワビだけど別物
トコブシとアワビは見た目がそっくりで、同じミミガイ科の仲間ではあるものの別の種類の貝です。貝殻にある呼水口と呼ばれる孔(あな)の数が、アワビは4個程度に対し、トコブシは6個以上あります。
またトコブシは生食よりも加熱料理がおすすめで、加熱してもアワビのように固くならない点も、トコブシの特徴のひとつです。近年は生息数が減って高級食材になりましたが、トコブシが手に入ったときにはバター炒めや蒸し物、旨煮などをお試しください。
・分類/ミミガイ科
・産地/高知、徳島、大分など
・旬/5~8月
・おすすめ料理/バター炒め、酒蒸し、旨煮など
マテガイ
潮干狩りのターゲットのひとつ
マテガイはアサリと同様、潮干狩りにおけるターゲットのひとつとして有名です。干潮時には砂の深くに潜っていますが、マテガイが潜んでいる穴に塩をかけることで飛び出してきます。
マテガイの旬は11月ごろから翌4月ですが、殻が非常に薄くもろいため、なかなか市場に出回ることはありません。マテガイは風味豊かで身もぷりぷりです。酒蒸しや塩茹でのほか、フライパンで殻ごと焼いて中身を食べるのもおすすめですよ。
・分類/マテガイ科
・産地/大分、熊本、山口など
・旬/11~翌4月
・おすすめ料理/塩茹で、酒蒸し、殻焼きなど
ムール貝(ムラサキイガイ)
洋食に欠かせない存在
ムールとはフランスでのイガイ科の貝のことを指し、ムール貝という種類の貝はいません。ムール貝として普段私たちが見かけるものは、「ムラサキイガイ」という種類なのです。
日本国内ほとんどの海岸線の磯やテトラポッドに生息していますが、自然下の個体は有毒のプランクトンを食べることで体内で毒を蓄積し、重篤な食中毒を引き起こすことがあります。和食よりも西洋の料理によくあう貝で、ワイン蒸しやパスタなどがおすすめです。
・分類/イガイ科
・産地/北海道、宮城など
・旬/6~11月
・おすすめ料理/ワイン蒸し、パスタなど
バイ貝
食感と風味が美味しい居酒屋の定番
バイ貝は春から初夏にかけて、日本各地の浅い海で水揚げされる定番の巻貝です。身はコリコリとした食感で、旨味も甘味もあり、肝からはほのかに磯の風味が香ってきます。
過去には少数ではありますが食中毒の事例があるため、極端に食べ過ぎることは止めましょう。居酒屋の定番メニューでもある旨煮や酒蒸しが、間違いのない食べ方です。
・別名/黒バイ貝
・分類/バイ科
・産地/山口、三重、石川など
・旬/3~7月
・おすすめ料理/酒蒸し、旨煮など
白バイ貝(エッチュウバイ)
食べ応え十分の大型巻貝
白バイガイは主に山陰沖や関西の日本海側で水揚げされる大型の巻貝で、正式名をエッチュウバイと言います。とくに石川県では、名物の金沢おでんに欠かせない食材としても定番ですね。
ツブ貝の仲間ではあるものの唾液腺に毒を含まないうえ、可食部が多いことも嬉しいポイント。新鮮なものは刺身がおすすめで、ほかにも旨煮や酒蒸し、天ぷら、バター焼きなど、どんな調理法でも美味しく食べられる万能な貝です。
・分類/エゾバイ科
・産地/山口、島根、鳥取など
・旬/11~翌2月
・おすすめ料理/刺身、旨煮、酒蒸し、天ぷら、バター焼きなど
ヒオウギガイ
カラフルな見た目で人気上昇中
ヒオウギガイは、主に西日本で多く養殖されるホタテに似たカラフルな貝です(自然下のヒオウギガイは褐色のものが多い)。ホタテよりは少し小ぶりですが、貝柱はホタテに負けないほど旨味が強く、十分に旨味もあります。
近年では見た目の良さからすっかり正月食材の仲間入りを果たし、ヒオウギガイを名物とする自治体も増えてきました。ホタテと同じように、刺身やバター焼きが絶品です。
・分類/イタヤガイ科
・産地/三重、島根、愛媛など
・旬/11~翌3月
・おすすめ料理/刺身、バター焼きなど
サルボウガイ
見た目は小型のアカガイ
サルボウガイは、見た目こそはアカガイにそっくりですが別の種類の貝です。放射状の模様(肋という)の数で見分けることはできますが、サルボウガイはアカガイより一回り以上小さく、大きくても5センチ程度にしか成長しません。
高級な貝ではありませんが、近年ではあまり見かけない貝になりました。旬は冬から春で、小ぶりですがアカガイ同様に刺身でも食べることができます。ほかにも旨煮や酒蒸し、和え物、パスタなど、どんな料理で食べても美味しいですよ。
・分類/フネガイ科
・産地/佐賀、岡山、島根など
・旬/11~翌3月
・おすすめ料理/刺身、旨味、酒蒸し、和え物、パスタなど
オオアサリ(ウチムラサキ)
今ではすっかりバーベキューの定番
オオアサリの名前でよく見かけますが、正式名はウチムラサキで、アサリとは違う種類の貝です。両者の違いは大きさ以外にも、アサリに見られるような殻表面の光沢やカラフルな模様がありません。ちなみにラッコが自分のお腹の上で一生懸命に割っている貝こそ、実はこのオオアサリなのです。
殻の直径は10センチほどにもなるため、身も肉厚で食べ応えがあります。やはり一番おすすめの食べ方は浜焼きですが、火の通しすぎは身を固くするので気を付けましょう。
・分類/マルスダレガイ科
・産地/愛知、三重など
・旬/3~6月
・おすすめ料理/バター焼き、浜焼きなど
ホンビノスガイ
海外からやってきたハマグリにそっくりな貝
ホンビノスガイは、北米大陸から大型船を通じて日本の海にやってきた貝で、今では千葉県周辺で多く繁殖しています。アメリカではもともと食用の貝として親しまれていて、本来クラムチャウダーはホンビノスガイを使用します。
ハマグリと見た目がそっくりですが、ハマグリの殻は上から見ると左右対称で、赤っぽい色をしているので区別できるでしょう。ホンビノスガイの身は肉厚で噛み応えがあり、ハマグリにもアサリにも似たような深い味わいがあります。クラムチャウダーはもちろん、浜焼きやパスタで食べても美味しいです。
・別名/白ハマグリ
・分類/マルスダレガイ科
・産地/千葉
・旬/1年中
・おすすめ料理/浜焼き、パスタ、クラムチャウダーなど
マツバガイ
どこの海でも見かけるカサガイの一種
マツバガイはカサガイ科の仲間で、寒い地域を除けば全国各地どこの海岸線でも見ることができます。お魚屋さんで販売されることはほぼなく、マツバガイを食べたいなら、潮が引いたときにテトラポッドや磯に付着している個体を採取します。
ただし簡単に採取できる一方で、地域によっては漁業権がかけられていて、知らずに採取すると密漁になるので注意しましょう。食感がよくて旨味があり、塩茹でや旨煮、炊き込みご飯などがおすすめです。
・分類/カサガイ科
・産地/房総半島以南
・旬/9~12月
・おすすめ料理/塩茹で、旨煮、炊き込みご飯など
ヤコウガイ
サザエに似た味と食感で沖縄地方では大人気
ヤコウガイは主に沖縄周辺の温かい海に生息するサザエの仲間で、2キロを超えることもある大型の貝です。ハンマーを使っても簡単に割れないほど殻は硬く、サザエと同じようにフタを外して身を取り出しましょう。
サザエと同じような旨味と噛み応えがあり、磯の風味も口に広がりますが、見た目に反してシンプルな味わいです。ワタも湯通しして食べると、口いっぱいに甘さが広がります。刺身はもちろん、パスタやバター炒めも絶品です。
・分類/リュウテン科
・産地/沖縄
・旬/1年中
・おすすめ料理/刺身、パスタ、バター炒めなど
シャコガイ
「人食い貝」とも呼ばれる沖縄に生息する奇妙な貝
シャコガイは、主に沖縄周辺に生息する大型の二枚貝の総称です。オオシャコガイという種類では、大きいものだと2メートルを超えることもあり、「人食い貝」と呼ばれ恐れられていた時代もありました。
食用としてもっともポピュラーな種類はヒメシャコガイで、沖縄の海鮮を扱う居酒屋では、シャコガイを提供するお店も多いです。貝柱は淡白な味わいながらも甘味がある一方、ヒモはほかのどんな貝よりも磯の風味が強く、驚くほど濃い味です。刺身やバター焼きで食べましょう。
・分類/ザルガイ科
・産地/沖縄
・旬/12~4月
・おすすめ料理/刺身、バター焼きなど
おわりに
この記事で紹介した貝をすべて知っている人は、なかなかいなかったのではないでしょうか。もちろんこれ以外にも、日本には美味しい貝がいっぱいありますし、世界を見渡せばきりがないです。
また貝はただ美味しい食材というわけでなく、命を脅かすこともある貝毒の存在も忘れてはいけません。貝は安全に正しく調理し、素敵な貝ライフをお楽しみください。
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